1. そもそも就職活動とは、自分のことを気に入ってくれる企業を探す活動だと考えています。商品などを企業にプレゼンする営業活動ではないので、なぜ企業研究がそこまで必要なのか理解できない。

2. 中国のインターネットは海外のサイトにアクセスできない事が多く、技術的にも視野を広げるため外資に入ろうと思いました。もし現在すごい技術視野、専門的な実力を持っていれば、既に欧米系の外資に就職している。

3. 日系企業はなぜ入社前の英語力に拘るのか?必要があれば研修など活用したり自習し、入社後でも十分に英語力を高める事が可能だと思う。

両者のフィードバック内容はとても対照的でした。

双方の歩み寄りが必要:

私は一人の中国人として、中国学生のフィードバック内容にも共感できます。しかし、この両者のギャップ(食い違い)を無くさないと、日本企業の中国学生採用の効率が高まらないので、何か良策はないか考えてみました。

その答えは、「お互いの異文化を理解し合って、折り合いをつけて、お互い近づくこと。」だと思われます。具体的には双方以下のように考える事が大事と思います。

日本企業に考えてもらいたい点:

・中国学生は個人志向、実力志向が強い。企業研究が本当に必要か?

・企業文化や社風に適応できる学生と実力がある学生どちらが今の会社にとって必要か?

・即戦力で採用したいか、採用後育成させるか?

・中国学生は実力主義なので、今後大事な仕事を任せられますか?(やりがい、存在感を感じさせないと、辞めるケースも)

日本で就職したい中国学生に考えてもらいたい点:

・日本人は集団主義なので、企業文化や社風を大切にしています。それに共感・適合できますか?(よく中国学生に日本企業の就職は結婚と同じと説明しています)

・現在「これができるから、この職に就く」という発想ではなく、「将来自分はこのような人物になりたい、このような事をしたいから(夢)この職を志望する」という発想が必要。そうじゃないと、日本企業には入社動機が見えません。自分分析が必要です。

・プロフェッショナルになりたいか、ノンプロフェッショナルになりたいか。前者の場合だと、プロフェッショナルの持つべき要素を今から備えましょう。

入社後の定着。鍵を握るのは?

私が2008年に来日した時から、日本企業のグロバール化をよく耳にしてきました。しかし、2012年末の現在、某大手通信企業(グロバール企業だと思います)すら日本的思考で海外人材を採用していると思うと、残りの99%中小企業はどうしているでしょうか。

中国での日本企業のブランディングは韓国企業、欧米企業のように強くありません。日本ではとても有名な企業でも、中国に行ったら誰も知らないというケースが目立ちます。(言語翻訳等も原因)。そこで、会社研究を中国学生に条件つけるのは本当に必要でしょうか。

さらに、最近の中国学生の人気就職先は、1位が欧米系外資、2位は中国国有大手企業です。3位もしくは4位の日本企業としては、採用した中国優秀学生を欧米系外資等にヘッドハンティングにされないため、大きな仕事を任せ(意思決定等まで参加させます)、仕事のやりがいを感じさせ、努力に合った報酬を与えるといった人事システムの構築が今後の中国採用の課題となるでしょう。

とは言え、決して日本企業が悪い、中国学生が悪いという単純な問題ではないと思います。思い切り相手に合わせる必要もないと思います。無理やり入社できても、いずれ食い違いの問題が起きるでしょう。中国人採用(グロバール人材採用)において、単に中国学生を企業研究させるのではなく、採用前、入社前にお互いの折り合いを見つけておくのが鍵だと思います。