広島県華僑華人総会2011年度活動総括

1.はじめに

20101212日に総会が発足して以来、さまざまな活動が行われてきたが、それは次の5点に集約される。第1に、2011年の活動計画を完遂し、25日に「春節祝賀会」、87日に「第1回中日友好卓球大会」、911日に「国慶節・中秋節月見パーティ」、1120日に「平和公園清掃ボランティア活動」を行い、522日に西日本教育研究会と合同主催で、「西日本教育研究会第五回学術研究会」を開催した。第2に、「東日本大震災復興支援チャリティーイベント」を行い、義捐金約45万円を日本赤十字社広島県支部に寄付した。また、被災地に水、マスクなどの物資を届け、理事及び一部の会員から寄付された義捐金約35万円を中国新聞社に、20万円を広島県庁に届けた。第3に、総会の組織化、健全な発展を図るために、理事会を9回、常務理事会を8回開き、闊達な意見交換を行った。今や、210数名の会員、会友を擁する規模の組織に発展し、815日に領事業務が代行可能な一般社団法人をも立ち上げた。第4に、他組織、団体が主催するイベントなどに積極的に参加し、交流を深め、協力関係を築いた。第5に、関係機関、組織を訪問し、信頼できるビジネスや人的ネットワークの構築を図った。以下、総会主催の活動を中心に詳細に2011年度活動を報告する。

2.総会主催活動

(1)総会創立大会

広島県在住の華僑・華人の交流と親睦を図り、地域社会や中日の友好交流を促進する「広島県華僑華人総会」(以下「総会」という)が20101212日に広島市中区(メルパルク広島)で開催され、任意団体として発足した。長い準備期間を経て、県内の大学教授や企業経営者たち54人が呼び掛け人となり、経済・文化・教育・スポーツなど幅広い分野で中日間の交流を進めることし、初代会長には広島大学大学院教授の盧濤氏が就任した。冒頭の挨拶で、盧会長は「年齢や職業の枠を超えて多くの同胞に参加してもらい、民主的で国際性を備えた新しい形の組織を作って行きたい。華僑・華人間の協力はもちろん、日本の友人たちとの友好交流も促進したい。」と述べた。同日の創立大会及び祝賀会には約300人が出席した。また、中国駐大阪総領事館鄭祥林総領事と有岡宏広島県副知事をはじめとする中日両国の政府関係者及び各友好団体の代表者が数多く出席し、総会創立への祝賀や今後のいろんな分野での総会の活躍に対し期待を表明した。なお、総会創立大会については、NHK、RCC、中国新聞、朝日新聞、関西華文時報などで報道された。

(2)春節祝賀会

総会創立後、初めての大型主催イベントとして、201125日に広島市南区にある「留学生会館」で、中国の伝統祝日の春節を祝う「春節祝賀会」を催した。会長挨拶の後に、大阪総領事館から趙大為領事、広島市市民局人権啓発部高尾ひとみ部長をはじめとする来賓が祝辞を述べた。祝賀会には日本で活躍している華人芸術家や地元の芸能者がすばらしい演技を披露し、来場の会員、会友、来賓を魅了させた。また、美味しい中華料理と点心も用意され、200人近くの来場客の全員が舌鼓を打った。最後の幸運抽選会で祝賀会はクライマックスとなり、約20名の当選者に次々と図書券や商品券、書道作品や工芸品が授与された。来賓の華人華僑代表はこの祝賀会を絶賛し、総会理事全員の努力と貢献に感謝の意を述べた。RCC、中国新聞、関西華文時報などで、春節祝賀会の報道があった。

(3)東日本大震災復興支援チャリティーイベント

東日本大震災の被災地を支援する活動の第三弾として、総会は2011424日に、広島市南区松原町JR広島駅南口地下広場でチャリティーイベントを催した。中国楽器や和太鼓の演奏、書家や画家による実演もあり、書や墨絵などの販売収益と募金計約45万円は、広島市を通じて日本赤十字社に寄付された。チャリティーイベントには、日本人演奏家を含め、広島県を中心に活躍している華人芸術家など約50人が演出し、大勢の来場者や通り掛った観客にすばらしいパフォーマンスを披露した。2008年の四川大地震での日本人の温かい支援と協力への恩返しの気持ちも込めたこのチャリティーイベントのほかに、総会は東日本大震災に対する復興支援として広島県庁に20万円、日本赤十字社広島支部に約35万円の義援金を寄付し、多量のミネラル・ウォーターやマスクなどの物資を被災地に届けた。なお、このチャリティーイベントについては、朝日新聞、産経新聞、中国新聞、毎日新聞、華僑報、関西華文時報などで報道された。

(4)西日本教育研究会第五回学術研究会

中日文化教育交流を促進しようと、総会は西日本教育研究会と提携し、2011522日に、広島市中区広島大学東千田キャンパスで、「西日本教育研究会第五回学術研究会」を合同主催した。西日本教育研究会は西日本地域の在職教育者や中国留学学者によって構成され、20094月に発足した教育関連学会である。現在は約50名の会員が大阪大学、京都大学、神戸大学、広島大学を始めとする西日本の各国公私立大学で教育と研究を行っている。第五回学術研究会には、同会の顧問を務める大阪総領事館教育室長の劉占山領事が出席し、「中国教育改革発展趨勢」という題名のテーマ報告をされた。その後、広島地域の大学教授と研究者及び総会の理事から計6本の学術報告があった。当日約50名の参加者があったが、各報告発表に対して積極的に自分の意見と見解を述べ、文化・教育における学術交流はその後の懇親会でも盛り上がった。

(5)第1回中日友好卓球大会

広島県内の華僑華人の交流と親睦を図り、地域社会や中日の友好交流を促進するという総会の趣旨と方針に基づき、201187日に、総会は広島市東区スポーツセンターで「第1回中日友好卓球大会を開いた。今回の大会には、中日両国の卓球愛好者計25名(日本友人9名、華僑・華人16名)が出場し、応援にかけつけた方を含め、約50名以上の参加者があった。中国はもちろんのこと、日本でも卓球の人気が高まっており、今回の大会にはプロに近いレベルの選手も参加した。熾烈なトーナメント戦と決勝戦を経て、日本友人の選手がチャンピオンを獲得した。入賞した選手たちには拍手の中に総会提供の各種賞品が授与された。

(6)国慶節祝賀・中秋節月見パーティ

中華民族の伝統祝日である「中秋節」と「中華人民共和国建国記念日」を祝うため、2011911日に、総会は広島市中区の中央公園で「国慶節祝賀・中秋節月見パーティ」を開いた。当日は、すばらしい天候にも恵まれ、会員、会友を含め、県内の華僑・華人、友人約170名が来場した。パーティには美味しい中華料理とお酒などが用意され、参加者は中国伝統の舞踊と歌を鑑賞しながら、中秋の名月を楽しんだ。また、家族団欒という縁起が込められた中華伝統の点心である月餅も来場者に振舞われ、パーティ会場を大いに盛り上げた。中華民族の伝統を守り、在日の同胞が団結し、地域社会との文化交流と相互理解を促進するこのイベントは総会の定例行事になる予定である。

(7)平和公園清掃ボランティア

広島平和記念公園は平和への祈念が隅々に込められ、人類共通の平和の願いと希望が託されている。この平和で綺麗な都市広島への思いを込め、平和への願いを表すために、広島県華僑華人総会では、1120日早朝、30人近くの同じ意志を持った仲間が集まり、広島平和記念公園の清掃ボランティア活動を行った。当日の朝9時頃、広島平和記念公園には「広島県華僑華人総会」と書かれた赤いユニフォームを着た参加者たちが集まり、人々の目を引いた。参加者には4歳の幼児から古希の年長者までがいて、さまざまな掃除用具を用い、公園内の小道や緑地帯にある落ち葉をかき集め、ゴミを回収した。また、公園内の歩道もきれいになった。清掃ボランティアに参加したある理事は、広島県華僑華人総会は、もうすぐ創立1周年を迎える。ここに置かれる≪平和の灯≫のように、風雨や困難にめげず、明るい未来に向かい、健全に成長してほしい」と意気込みを語った。

3.一般社団法人の設立と領事代行業務の開始

総会は任意団体として発足して以来、会員、会友により良いサービスを提供するために、全体理事が一致団結し、さまざまな取り込みと努力を重ねてきた。

3月初め、総会は広島市に、「ひろしまNPOセンター」内での事務所開設を申請した。厳格な審査と面接を経て、41日に許可を取得し、415日に事務所を起動させた。その後、総会の公益事業展開を更に正式かつ本格的に拡大するため、5月末から6月にかけて繰り返し議論を重ねた結果、「一般社団法人広島県華僑華人総会」の設立を決定した。628日に公証役場へ「一般社団法人廣島県華僑華人総会定款」を提出、810日に定款の審査合格を取得し、815日に広島法務局に正式に「一般社団法人廣島県華僑華人総会」として登録した。登録時点では、理事、監事計19名(総会の27名の理事、監事のうちの19名の出資者)と代表理事1名(広島大学大学院の盧濤教授が就任)で社員を構成している。

915日に、中華人民共和国駐大阪総領事館及び関連外交機関から許可を得て、「一般社団法人廣島県華僑華人総会」は正式にパスポート・ビザ・公証・認証などの領事代行業務を開始した。

今後、時機が熟し、即ち多数の会員、会友の賛同が得られた時期に、任意団体の広島県華僑華人総会と一般社団法人廣島県華僑華人総会を一本化し、より効率よく、より広い領域で、より豊富なサービスを会員、会友に提供できるように努めていく。

なお、中国新聞には一般社団法人設立と領事代行業務開始に関する事務局へのインタビューが掲載され、関西華文時報にも関連記事が大きく取り上げられた。

4.他組織活動への参加と訪問交流

(1)「広島市帰国者同心会」主催春節祝賀会への参加

総会の協力団体である広島市帰国者同心会は、2011130日に、広島市中区中央公民館で「春節聯歓会」を開き、協賛団体として総会から代表が10名ほど出席した。帰国者たちとその親族、広島市の行政代表などの来賓を含め、総勢200名近くの来場者が手作りの水餃子を楽しみながら、中国伝統の舞踊と余興を鑑賞した。今後も、総会は県内中国出身者の主要団体としての「広島市帰国者同心会」との連携を深めていくこととしている。

(2)「広島掃除に学ぶ会」主催300回記念大会への参加

地域社会への貢献の一環として、2011424日に、総会は広島市中区の幟町中学校で行われた「広島掃除に学ぶ会」主催の300回記念大会に参加した。同日、総会主催の「東日本大震災復興支援チャリティーイベント」もあり、公益活動に忙しい一日だった。「広島掃除に学ぶ会」はNPO法人「日本を美しくする会」を母体とする地域の公益ボランティア団体の一つであり、トイレ掃除を通じて「心の荒み」と「社会の荒み」をなくすことを目的としている。同会は数ある分会の中でも特に中国との関わりが深く、毎月の活動には中国人留学生も参加している。中国でのトイレ掃除活動も10年以上にわたり展開している。当日の記念大会に参加した総会の理事代表は、「こうした地域社会の公益ボランティア活動に参加し続けることで、中日友好と相互理解の促進に寄与したい。」と語った。

(3)「夢現大学」主催ビジネス交流会への参加、講師派遣

広島地域社会の経済文化交流を促進しようと、総会は広島地域に活躍している民間団体「夢現大学」の要請に応じて、201189日に、広島市中区の「ひろしまNPOセンター」で当団体が主催する広島地域の各中小企業のためのビジネス交流会に講師2名を派遣した。今回の講師に任命された総会の連絡部長と事務局長は、広島地元の各企業代表者に中国の現状と傾向を紹介し、中日両国の価値観や商慣習の相違についても説明し、経済交流における実際問題の解決に資する助言もした。引き続き行われた懇親会では、参加者たちは中日間のビジネス交流についてそれぞれの見解と感想を述べ、こうした交流の機会と場を提供してくれた主催側に感謝の気持ちを表明した。なお、当日、総会の会員、会友が10数名参加した。

(4)辛亥革命100周年記念イベントへの参加

中国駐大阪総領事館は、723日に兵庫県公館で「辛亥革命100周年記念座談会とレセプション」を開催し、各地区の華僑華人団体の代表と商会の代表などが参加した。辛亥革命の歴史的意義を再確認し、中華民族のために犠牲となった革命家と先人たちを偲んだ。広島県華人華僑総会を代表し、盧会長が出席し発言をした。また、97日に神戸であった「2011年文化中国・辛亥百年芸術団」の公演とその歓迎会に総会の代表が出席した。

(5)その他の活動への参加

中国国務院僑務弁公室主催「華僑代表北京・雲南視察」の他に、総会の代表が中国駐大阪総領事館主催の「春節祝賀会」、「関西地区華僑華人組織代表者座談会」、「国慶節」及び「第13回日本華僑華人聯合総会」(三重にて)に参加した。また、駐広島大韓民国総領事館主催「国慶日」と、第3回、第4回広島日中クラブ主催ゼミナール、三次日中友好協会主催「春節祝賀会」、創価学会広島展実行委員会主催「世界の書籍展」、財団法人ひろしま国際センター主催「多文化共生シンポジウム」等に参加した。

(6)関係機関、組織への訪問

総会創立以来、多くの関係機関、組織を訪問し、信頼できるビジネスや人的ネットワークの構築を図った。総会創立大会開催直後、総会の代表が鄭祥林総領事に同行し、湯﨑知事を表敬訪問した。他に、公益財団法人ひろしま産業振興機構、広島大連交流協会、福山商工会議所、福山市日中友好協会等を訪問した。また、中国国内では、総会の代表が国務院僑務弁公室をはじめ、北京市人民政府僑務弁公室、天津市人民政府僑務弁公室、上海市帰国華僑聯合会、浙江市人民政府僑務弁公室、大連市帰国華僑聯合会、大連市金州新区経済貿易局等を訪問した。

5.終わりに

以上、2011年度活動を総括したが、このように多岐にわたる活動ができたのは、理事各位をはじめ、数多くの会員・会友のご理解とご協力が得られた成果である。また、中国在大阪総領事館、広島県、広島市、他の団体、組織からの支持があってからこそ活動を展開することができたのである。ここに関係者各位に感謝の意を表したい。

いうまでもなく、スタートしたばかりの組織として、これから解決しなければならない課題をたくさん抱えている。今後会員・会友をはじめ、関係者の皆様から寄せていただく建設的なご意見を謙虚に受け止め、一致団結して、年度計画を遂行しながら、組織拡大と地域貢献に努めていく所存である。